刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第36章 嵐の夜
やだ…
置いていか、ないで…
父と母の姿が暗い闇に飲み込まれていく…
待って…
連れて行かないで…
私も行くから…
必死に走るものの遂に体力は尽きてしまい、足がもつれて倒れこんでしまった。そうこうしている内にも、愛する両親の姿は闇に包まれていく…
「…っ」
「…い」
「おいっ」
「おいっ!!」
大倶利伽羅は身を乗り出してうなされている彼女の肩を掴んだ。ぱっと目を開いた彼女は、はあっっと大きく息を吸い込んだかと思えば、直ぐにぜえぜえと苦しそうに息を吐いた。
余程夢見が悪かったらしい。
「大丈夫かっ」
荒い呼吸を繰り返しながらも暗い中に金の双眸が光っているのが彼女の目に入る。そしてその瞳が、声が、彼女が一番よく知っているものだと分かり、縋るように彼の名を呼んだ。
「お、くり、から…」
「あんた…うなされていたぞ」
大倶利伽羅はところどころ汗で額に張り付いている彼女の髪の毛を払った。
普段刀を握って戦っているとは思えないほどの優しい手つき。その手に上から重ねるように彼女は自身の手を置き、その温もりに安心した。
──段々と意識がはっきりしていく。
そしてさっきのは夢だったんだとようやく気が付いた。