刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第36章 嵐の夜
あんな会話を聞いてしまっては、怖いから一緒に寝てもいいかな?なんて聞けるはずがなかった。
これからどうしようかと粟田口部屋から少し離れた廊下で立ち止まっていると、「おい」と聞き慣れた声。振り返ると大倶利伽羅が立っていた。
「近侍もつけずにこんな所で何をしてる」
「か、伽羅ちゃん」
「一人で危ないだろう」
「あ、あの…」
彼女が口を開きかけた時人影が見えた。そしてその先にへし切長谷部の姿。
「主?どうしました?」
「え、あ、何でもないよ!長谷部こそどうしたの?」
「俺は見回りですが」
「そうなんだ、わ、私も本丸の様子が気になって…」
長谷部は廊下に佇んでいる主に大倶利伽羅が近づくのを見ていた。甘い雰囲気ではないふたりの様子に恐らく逢瀬ではないと悟り話し掛けたのだった。そして見回り中である自分が主を部屋に送ると申し出た。
「長谷部ありがとう…」
「丁度見回り中でしたし問題ないですよ」
その様子を大倶利伽羅は眉を寄せて眺め、歩き出そうとする長谷部の横で彼女は何か言いたそうに大倶利伽羅を見上げた。
「主?行きますよ?」
「…あ、うん…じゃ、じゃあ大倶利伽羅さん…お休みなさい」