刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第36章 嵐の夜
そうこうしている間にもどんどん雨音は強くなっている。
震える体を自身で抱きしめながらもどうしても部屋に戻ることが出来ず、彼女の足は無意識に粟田口部屋へと向かっていた。事情を話せばお邪魔させてもらえるだろう…それに、人数の多い短刀達なら一人増えたところで大して気にならないはず、そう思ったのだ。
…
…
「い、いち兄っ…」
「怖くて眠れないか?大丈夫だよ…こっちにおいで」
「こ、怖いですっ」
粟田口部屋の前に着くと、部屋の中から五虎退と一期一振の声がした。この嵐が怖くて眠れない五虎退を一期一振が宥めているようだった。
「ほら…朝にはきっと通り過ぎると思うから、大丈夫だ。隣にずっといるから安心しなさい」
「で、でも…いち兄は近侍じゃ…戻らなくていいのですか?」
「ああ、主がお前たちの傍にいていいとおっしゃってくれたんだ」
「あるじさまは…怖くないでしょうか…大丈夫でしょうか…」
「彼女はああみえてしっかりしているから大丈夫だよ。それに…怖かったとしても彼が傍にいるだろうから…」
「大倶利伽羅さんですね…」
そんな会話が聞こえてしまい、障子に手を掛けようとしていた手が宙に浮いたまま止まってしまった。