刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第35章 お風呂での秘め事
温風が吹き、髪の隙間を通っていく。髪を触る手つきは優しくて、まるで壊れ物を扱うかのようだった。その上、鏡越しに目が合った時に「熱くないか」と聞いてくれる辺り、流石伊達男だ…
手櫛で髪をとかしながら温風を当てられる事数分、うっとりしている内に最後に冷風を当てられあっという間に髪は乾いた。
「伽羅ちゃん、上手だね…」
「あんたが俺にしてくれたようにしただけだ」
そう言われれば、私が大倶利伽羅さんの髪を乾かす時は手櫛でとかしながら乾かして、仕上げに冷風を当ててたっけ…
しっかり覚えててくれたんだ。
相変わらずの気遣いに頬が緩んだ。
「ありがとう…今度は私が伽羅ちゃんの髪乾かすから、ここ座ってくれる?」
「俺はいい」
「いいって…でも濡れて、わっ」
ギュッと後ろから抱き締められて耳朶を甘噛みされ、湿った吐息が耳に直接かかり、心臓がたちどころに騒ぎ出した。
「俺の髪など放っておいてもすぐ乾く…それより…」
「ん…?」
「あんたが足りない…」
甘さを含んだ低い声で囁かれ、熱っぽい吐息までもが首筋を掠め、ぞく…と背筋に痺れが走って下腹部がキュンとしてしまった。