刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第35章 お風呂での秘め事
「でもね、北東の空にはこと座のベガ・わし座のアルタイル・はくちょう座のデネブがもう見えてるはずなの!夏の大三角ってやつ!ほら、あそこの三角形がそれ!」
「ああ、あれか?…詳しいんだな」
「うん、ちょっとだけね…学生の頃、星座が好きで勉強してた時があったんだぁ。ベガとアルタイルが七夕の織姫と彦星なんだよ」
最近は忙しくてすっかり星座のことなんて忘れてたけど、こうして作られた夜空でも見ると、星座の名前をちゃんと思い出すもんだなぁ。
「織姫と彦星か…それなら知っている。年に一度しか会えないという話だったな」
「うん…そう、切ないよね。私だったら一年に一回しか伽羅ちゃんに会えないとか、絶対耐えられないだろうなぁ…」
「そうだな…」
「ふふ…それでね、星だけじゃなくて月とか他の惑星も見たくなっちゃって、天体望遠鏡が欲しいって両親に頼んだの。でも高いからすぐには買ってもらえなくて…それで沢山家のお手伝いしたり、勉強頑張ったりしてやっと買ってもらって…」
つい当時のことを思い出して言葉が詰まる。悲しくなっちゃうから思い出さないようにしてたんだけど…何より大倶利伽羅さんに気を使わせてしまうのではないかとその話題を出してしまったことに反省した。
「…寂しいか」
「え!?」
「審神者になってからは友にすら会えないだろう…」