刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「そういうと思っていたよ…、君の本音が聞けて嬉しい」
そう言って彼女をそっと抱きしめる歌仙さん。歌仙さんは、腕の中でごめんなさいと言いながら声を殺して泣いている彼女を優しくさすっている。
そんな様子を見ていたらこちらまでもらい泣きしてしまった。静かな客間に鼻をすする音が響いている中、歌仙さんが「わかったかい?燭台切。貴殿が思うより主は貴殿のことをずっと想っている」と襖の方に向かって少し咎めるように言い放った。
すると襖がそっと開き、目を赤くして涙を流している燭台切さんがそこに立っていた。歌仙さんは燭台切さんがいるとわかっていて、わざとあの質問をしたようだった。
「あ、ある…じ」
「みっちゃん…」
「ごめん…ごめんね主…僕は…」
「燭台切…主の事を大切に思うなら、もう二度と馬鹿なことはするんじゃないよ…」
それからは二人にした方がよいと判断し、歌仙さんに連れられ別の客間に案内された。廊下を歩きながらあの二人の様子だときっと大丈夫だ…そう思った。
案内された客間には豪勢な食事が並べられていた。ご飯までご馳走になるつもりはなかったので焦り、その旨を伝えるもどうしてもと言われ、光忠も「せっかくだからいいんじゃない?本丸には僕から伝えておくよ」と言うので、ご馳走になることに。