刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
諭すように話続け、少しずつ落ち着きを取り戻してきた向こうの燭台切だったが、いつまでもうじうじとして前に進めない状況が続いていた。
それでも根気よく向き合いこちらの燭台切は話を続ける。
燭「君は…今の状況をどう思っているの?」
他(燭)「そりゃ…僕だって今の状況がいいとは思っていないよ…でも彼女が他の男に笑ってる姿を見る度に、どうしようもなくなるんだ、どうにも出来ないんだよ!いっそのこと隠してしまえればどんなにっ「光坊!!」…ッ!」
向こうの燭台切は吐き捨てるように胸の内を話す。静かに二振りのやり取りを聞いていた鶴丸だったが、燭台切の『隠す』と言う言葉に思わず身を乗り出して大きな声で言葉を遮った。
向こうの燭台切は鶴丸の声にハッとし、無意識に自身の口から出た言葉に思わず固まる。
一方、その様子を障子の向こうでじっと聞いている刀が一振り。
――歌仙兼定は心配で居ても立ってもいられず、お茶菓子を理由に部屋をそっと訪れていた。そして彼もまた『隠す』という言葉と障子の向こうから感じる不穏な空気に動揺し、そのまま部屋の前で立ち尽くしていた。
他(鶴)「光坊…それはやってはいけないことじゃないか」
他(燭)「わかってるよ…でも!はがッッ!!!」
突如向こうの燭台切が倒れ込み、頬を抑えて驚いたように顔を上げた。