刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「万屋の店員さんに告白されたとき、その人の顔がとても赤くなっていて…でも眼差しは物凄く真剣だった。きっと勇気を振り絞って想いを伝えてくれたんだと、そう思ったの。
だから刀剣を引き連れて返事をしに行くのは、あまりにも気の毒だし失礼なんじゃないかと…
かといって刀剣と万屋街まで一緒に来てしまうと中々一人になれない。断るのにわざわざ告白された事をみっちゃんに言うのも気が進まなくて。だからこっそり…」
あぁ、そうか…
誠実に気持ちを伝えられたから、ちゃんと誠実に返したかったんだ。
ギュッと唇を噛み締めながら少し目に涙を溜めている姿は、自分がとった行動に対してとてつもなく後悔していることが滲み出ていた。
「……丁度買い物に来てたみっちゃんに見られて…事情をちゃんと話したんだけど、あまりにしつこく聞いてくるから信用されてないのかと悲しくなってつい怒っちゃったの。やましい事なんてないって言ってるのに何でそんなに疑うの?って…
みっちゃんからしたらやましいことがないなら何故僕に話してくれなかったの?って感じよね。
──とにかく、私が怒った時のみっちゃんの顔が忘れられない…」
「それから変わっていったんですか…」
「少しずつだけど…私が悪いんだ。みっちゃんの気持ち考えようともしないで距離置いたりして…」