刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「ち、違いますっ!光忠を連れてきたのはうちの長谷部が心配性でもう一人護衛を連れてけってうるさかったからです。だから大倶利伽羅さんと仲が良い光忠にお願いしました…光忠は私の初鍛刀でもあるのでっ」
「……ふうん…ま、いいけどね。取り敢えず客間に行こうか」
長谷部を口実にしてごめん、なんて思いながら何とかこの場を凌げた事に安堵した。
さっきまでとは打って変わって、燭台切さんが現れた途端殺伐とした雰囲気にがらりと変わり、うちの光忠が言っていた通り事態は深刻なんだ、とそう思った。
沈んでいる様子の彼女の手をそっと握ると、小さい声で「ごめんね」と言われ、「大丈夫」と首を横に振る。
客間に通され、席に座ると向こうの鶴丸さんが口を開いた。
「せっかく違う本丸の光坊に会えたんだ!こんな機会はそうそうないから向こうでゆっくり話でもしないかい?なあ、光坊!」
さすが、鶴丸さん。事情をわかっているようで、話が出来る場を設けようとしてくれている。本当に気が利く。
そして鶴丸さんの言葉に向こうの大倶利伽羅さんも賛同してくれた。
──向こうの大倶利伽羅さん…思わずその姿を見つめてしまう。