刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「主、どういうことだい?客が来るって聞いてたけど、同異体の僕の事だったの?まさかそっちの僕に乗り換えようって事!?」
「ちょっと、何言って、違うったら!」
後退りしてしまう程の物凄い剣幕…
彼女の肩を掴んで言葉を捲し立てている彼は、初めて演練の時に見た燭台切さんとは別人に見えた。
「痛いっ、みっちゃん離してっ」
「やめろ光坊!」
「光忠、客の前だ」
「あ、あの!この燭台切は私の護衛として来ただけでっ彼女とはなんの関係もありませんっ」
向こうの鶴丸さんと大倶利伽羅さんが燭台切さんを止めに入ってくれてるけど、彼女の肩を掴む燭台切さんの余裕を感じられない様子に、つい口を挟んでしまった。
すると燭台切さんは彼女の肩を離し、私達にゆっくり視線を向けた。その冷たい瞳にぞくりと背筋が凍る。思わず大倶利伽羅さんの学ランの裾を握り締めると、大丈夫だ、と言っているかのように大倶利伽羅さんの手が私の手に重なった。
見上げると穏やかな金の瞳と目が合う。
「そっちの伽羅ちゃんは君の恋刀だろう?見たら分かるよ。君の体、伽羅ちゃんの神気でぷんぷんだからね…でもそっちの僕は?何故わざわざ燭台切を連れてくる必要があるの?遊びに来るなら伽羅ちゃんだけでいいよね?はっきり言ったらどうかな?僕に隠れて逢い引きするつもりだったって!」