刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第9章 ハプニング
本丸のセコムこと、長谷部が叫びながらあり得ない機動でこちらに向かってくる足音が聞こえる。
「ひえ!長谷部!!」
いつの間にか鼻血を吹き出し昇天してしまっている兼さんを横目に、長谷部来ないでっ!と叫んだ。これ以上見られたら堪ったもんじゃない…慌てて脱衣所のドアが開かないように手で押さえ込む。
「し、しかし!」
「お願い、今服着るからっ!」
急いで服を着て髪を整えた後、脱衣所を出た。
うん、やっぱり主入浴中の立て札かかってるんだけどな…。
長谷部が大声出して来たもんだから、他の男士も数人集まっている状態だ…勘弁してほしい。
「まさかっ!主の入浴中に押し入った不届き者が!?」
「えっと…」
「許さんっ!!どこのどいつだあぁ!圧し斬る!」
そのまま長谷部が脱衣所に怒濤の如く入っていくのを見て、私はそそくさと自室に戻った。
兼さん、どうかご無事で…と祈りながら。
「主さん!兼さんがすみません!」
私室で身支度を調えていたら、ドアの向こうから声がした。切羽詰まったような声の持ち主は堀川くんだ。
「堀川くん、そんな謝らなくていいからっ」
ドアを開けると同時に血相を変えて謝る堀川くん。先程の騒ぎを聞き付けて来てくれたみたいだ。
「僕が付いていなかったばっかりに!兼さんにはきつく言っておきますからっ」