第34章 神気

聞こえないふりをしている三日月さんの腕を勢いよく掴み上げ、私を三日月さんから直ぐ様引き離す大倶利伽羅さん。三日月さんは私に視線をやり、はっはっはっ、と笑いだし耳打ちをした。


「ほらな…あやつの顔を見たか？神の独占欲と嫉妬は醜いくらいに大きい。人間のそれとは比べ物にならんくらいにな。主よ、気を揉むことはないぞ」

「まさか、そのために！？」


大倶利伽羅さんの舌打ちが聞こえる…。


「さて邪魔物は消えるとするか、なあ、大倶利伽羅よ」

「三日月さん…色々と有り難うございました」

「構わん構わん。じじいも主とゆっくり話せて楽しかったぞ」


よきかな、よきかな、と言いながら三日月さんは去っていった。大倶利伽羅さんは不服そうだ。


「大倶利伽羅さん、おかえりなさい。三日月さんが執務を手伝ってくれてたの」

「そうか……今日、誉を取った」

「わっ、おめでとう！！」


キョロキョロと辺りを見渡し、皆がいない事を確認してから大倶利伽羅さんの学ランを掴みグッと引っ張り引き寄せる。
背伸びをして彼の唇に自分のそれを重ねた。


　ちゅ


「！！」


私の行動に大倶利伽羅さんが目を見開いた。