刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「神の欲に比べれば人の欲なんて可愛いものだ。さて、そろそろやつが帰還する時間だな」
「わっ、もうそんな時間!」
時計をみると大倶利伽羅さんの部隊が帰還する時間だった。
ゲートに急いで向かい、三日月さんと一緒に第一部隊のお出迎えをした。怪我人もなく皆無事に帰ってきてくれた事に心底安堵する。
長谷部と太郎さんが資材を資材庫に運びに行き、他の皆はお風呂に向かった。
先の方から大倶利伽羅さんが私の方に向かってくるのが見える。
すると何故か三日月さんが私を抱き締めてきた。突然の事に吃驚して腕の中から出ようとするも、ガシリと囲われ逃げられない。
その光景を目にした大倶利伽羅さんの表情が、先程までの穏やかなものとは一変して険しい顔つきに変わり、大股でこちらに向かってくる。
「み、三日月さん!?」
「…愛しい主よ。俺のものになれ。大倶利伽羅より大事にするぞ…どうだ?」
「え、はあ!?」
耳元で三日月さんが囁く。それをしっかり聞いていた大倶利伽羅さんが怒気を含んだ顔で口を開く。地の這うような、それはもう低い声で。
「何してるくそジジイ、今すぐ離れろ。今すぐにだ」