刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
「…宴を途中で抜けたのは、大した理由じゃないんです」
「そうか?」
きっと仕事を手伝いに来たというのは口実で、心配して来てくれたんだろうな…
大倶利伽羅さんとお付き合いするようになってから、頭の隅にずっと引っ掛かっている事があるにはあった。
三日月さんののんびりとした柔らかい雰囲気が相談しやすい空気を作っていて、話してみようかな、という気持ちになった。
「悩みというか…」
「ん?どれ…じじいが聞いてやるぞ」
恋にうつつを抜かして弛んでいるとか、皆優しくて何も言わないけどもしかしたら心のどこかで思われてたりしないだろうか…それに恥ずかしいからって恋仲になった事をずっと隠していて、今思えば皆に対して不誠実だったのではないか…とか。
「そんな事を気にしておったのか」
三日月さんにその事を伝えてみると、意外な言葉が降ってきて、あなや~!とでも言いたげにこちらを見ている。そして、ゆっくりと、穏やかに話始めた。
「ここにいる刀剣は、皆主を大事に思っておる。主が幸せならそれで何も言うことはないぞ。それというのも、主も一人のおなごだからだ。主としても勿論だが、それ以上に女としても幸せになって欲しいとも願っておるぞ。…それに、主は皆に対してあくまで平等だ。誰も不満には思っておるまい。そう案ずるな」