刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
その後暫く撫で撫でされていた。
ついつい気持ちが良くて享受していたけど…でも、私が慰められているのは違う気がする!
そう思い気を取り直し「ごめんね…」と言いながら大倶利伽羅さんの頭にそっと触れ、今度は私がゆっくり撫でると、彼はそれを受け入れるように目を伏せた。
目瞑ってる……可愛い。
なんだか大型の動物を撫でている気分になり、頬を緩ませながらヨシヨシしていると「おい、もういいだろう」と彼の声。
そして微妙な表情の大倶利伽羅さんと目が合った。
さすがに長かったかな…?
出会ったばかりの頃は、話しかけても必要最低限な言葉しか返ってこなくて表情も変わらないから、てっきり無表情な刀だと思っていた。
けどこうして向き合っていると、表情に沢山変化があるのが分かって何だか嬉しくなる。
「可愛かったのに…」
「意味がわからないな…そら行くぞ」
「行くって、宴に参加してくれるの?広間に行くってこと!?」
「行かん」
「えー!!違うのー?」
「ここを出る、と言っただけだ」
苦笑しながら大倶利伽羅さんと立ち上がり、鍛練場を出た。体は大丈夫なのか心配だったけど、しっかりしている足取りに安堵した。