刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
鍛練場の扉の隙間から明かりが漏れているのが見える。大倶利伽羅さんがまだいるのだろうか。
「あ…」
そっと扉を開けるとそこには、一人壁にもたれ掛かって座っている大倶利伽羅さんの姿があった。
心臓がドクン、と嫌な音を立て、ドクドクと次第に早く鳴り響く。
まさか…
まさか…
倒れているんじゃ…
一歩、また一歩とおぼつかない足取りで彼の側に近付いていく。
広い鍛練場でピクリとも動かない大倶利伽羅さんの姿が段々と近くなり…
――顔を見ると、眠っているだけのようだった。よかった…安心感で身体の力が抜け、彼の正面でへたり込んだ。
いつもなら近付くと直ぐに目を覚ますのに、今は穏やかに寝息を立てている。うたた寝するなんて余程疲れたんだと思い、申し訳ない気持ちに駆られた。
暫くその端正な顔を眺め、時間の許す限り大倶利伽羅さんをそのままにしてあげたくて私も彼の隣に座った。
…
…
「伽羅ちゃん、主ちゃん…」
「………んあ…?」
ぼやけた視界に誰かの顔。
はっきりしない頭が段々とクリアになっていくと、そこには光忠がいた。