刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
耳を大きな手で塞がれている事により、脳内にくちゅり…くちゅりと直接響く水音。
「…ふ、……ぁ……んっ」
頭の中にひたすら咥内を犯される音が響いて、突然の展開に僅かながらも抵抗していた思考も、彼によってなんなく溶かされてしまう始末。
気持ちが良くて、全てを忘れかけそうになった時――
「お、同田貫っ!今から鍛練か~?」
「だったら何だよ」
「ご苦労なこった!ま、頑張れよ!」
兼さんと同田貫さんの声。
そして明らかにこちらに向かってくる足音。
「…ッ!!……っだ 、だめっっ!!」
慌てて大倶利伽羅さんの胸板を思い切り押して離れ立ち上がり、その場を後にする。
真っ赤になっているであろう顔を両手で覆い隠しながら、途中ですれ違った同田貫さんに目もくれず執務室に戻った…。
そんな私の姿を見た同田貫さんが、鍛練場の方に視線を向け「叩っ斬ってやる…」と怒気を含んだ声をあげていたのを私は知らない。
…
…
「…はぁ…心臓に悪い…」
執務室の椅子に座り机に突っ伏す。
二人の会話がなければ、同田貫さんに見られるところだった…前も同じような事をして国広くんに見られたというのに。