刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
体を起こし正座を崩したような体勢で座り込み、「これを機に体鍛えようかな…」と呟くと、大倶利伽羅さんが私の正面に腰を下ろし、長い足の間に私の体がすっぽりと収まる。
そして至近距離で顔を覗きこまれた。
「鍛えてどうするつもりだ」
「ッ!、ど、どうするって…何かあったとき足手まといにならないように少しでも鍛えるの!こうなったら山伏さんか同田貫さん、蜻蛉切さんの誰でもいいからみっちり、…っ」
あまりの顔の近さに目を合わせられず、捲し立てていると、急にきゅっと抱きしめられた。
「……あんたは、相変わらずだな」
「…!?」
「まだ恥ずかしいか」
「っ………伽羅ちゃんが、」
「…?」
「格好良すぎるから悪い…」
「悪いが見目は変えられないな」
「見目だけじゃ…ないもん…」
消え入りそうな声でそう言うと「あんたは俺が守る…だから鍛える必要はない…」と耳元で甘く囁くように言われた。そして穏やかな金の瞳に見つめられる。
「…っ」
ドキドキして動けなくなっていると、彼の掌が私の両耳を覆い、ゆっくり唇が重なった。
ちゅっと音を立てて一度は離れていった唇が再度重なり、深く深く絡まっていく。