刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
どこかそわそわしながら執務をこなしていたらあっという間に帰ってくる時間。
「大倶利伽羅さん…」
「あぁ、前田藤四郎か」
「うん…いよいよ帰ってくるの」
どんな姿になって帰ってくるんだろう。
少し緊張しながら玄関に向かった。
行きは一期さんだけのお見送りだったけど、今回は皆楽しみなのか、本丸に残っている短刀ちゃん達が全員玄関で待機していた。
そして遂にその時が…
パアっと光が放たれて一瞬目を瞑る。そしてそっと瞼を開くとそこには前田くんの姿があり、その姿は自信に満ち足りていた。
粟田口のみんなからわあーーーっと歓声があがり、たちまち前田くんの周りをとり囲む。
微笑ましくその光景を眺めていたら、前田くんが短刀ちゃんたちの間を縫って私の前に来てくれた。そして深くお辞儀をする。
「前田くんおかえりなさい…」
「主君、ただいま戻りました」
「前田、おかえり…随分見違えたね…」
「いち兄…」
頼もしくなったその姿に感極まり、思わず抱き締めた。そして涙がホロリと頬を伝う。無事に帰ってきてくれて本当に良かった。