刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第34章 神気
大倶利伽羅さんに手を引っ張られながらも首だけで振り返り、倒れている光忠が心配で目を離せずにいたら、貞ちゃんが駆け寄っているのが見えホッと一息付いた。
それにしても、長谷部といい光忠といい…今日はどうしたんだろう…なんとなく本丸全体の空気がいつもと違う気がするのは私だけなのかな…気にしすぎなのかな。
…
…
「あっ」
書類を整理していたら、バサバサと下から落ちてしまいプリントが散乱してしまった。慌てて拾っていると、大倶利伽羅さんも拾ってくれていて。
「ありがとう…」
「ああ」
受け取るときに手と手が当たってしまった。別にどおってことない筈なのに妙に意識してしまって顔に熱が集まる。
そして昨晩の記憶が彷彿される…
大倶利伽羅さんの革手袋を外した綺麗な大きい手。
形のいい薄い唇。
逞しい身体に力強い腕。
そしてそして、……
それが私の体を…
「…っ」
私ってば何を考えてるのっ!?
まるで痴女のような考えに恥ずかしくなって、大倶利伽羅さんの顔をまともに見れなくなってきた。
今日は前田くんが修行から帰ってくる日!!
一回り大きくなり、逞しくなって帰ってくるであろう彼に失望されないようにしないと…
しっかりしなくちゃ、と気を引き締めた。