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刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~

第33章 幸せな痛み


唇を重ねた事は何度もある。だがもうそれだけでは足りなくなっていた。


あんたが欲しい。

あんたの全部を俺のものにしたい。

日に日に強くなる欲求。


いつしかあんたが俺から離れていかないように、繋ぐものが欲しいとさえ思うようになっていた。

このまま押し倒してあんたの全てを貪り喰らい尽くしてしまおうか…そう思った矢先、執務室の廊下から山姥切の気配がした。そのおかげで理性が呼び戻されなんとか思い留まった。

山姥切はすぐさま執務室を後にした。
何をしているのか気付いたのだろう…何らかの言付けがあって来たはずだ、おそらくまた戻ってくると予測して、理性が働く内に名残惜しくも彼女の唇を解放した。

唇にまとわりつくどちらかもわからない唾液をペロリと舐めとっていると、彼女が俺の口元を目で追っていた。欲情しているような、熱に浮かされたような彼女の瞳。


「…は、…なんて顔してるっ」

「っ…」

「くそ、…もう限界だ」

「な、にが…」


「あんたを…俺のものにしたい」気付いたときには口にしていた。性欲なんて、そんなものは自分にはないと、あんたを好きになる前はそう思っていたのに。


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