刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第33章 幸せな痛み
「やあああ゙あ゙!!お願いとってぇぇぇ!!頭になんか、いる!やだやだぁ!!」
「おいおい、そんな強く抱き付かれたら何も出来ないぜ?」
国永に抱き付いているあんたを見て、抱き付かれて嬉しそうにしている国永を見て、どうしようもないくらいに胸がざわつき苛立った。
泣いているあんたを国永が抱き締め頭を撫でている光景。見たくない…すぐにでもあんたを国永から引き剥がしこの腕に閉じ込めたい衝動に駆られながらも、目を伏せ歯を喰いしばり耐えた。
そして連中が去った後、思わず彼女をこの腕に閉じ込めた。
「怒って、る?」
「怒っていない…」
「…うそ、なんか怒ってる」
「…」
言葉ではそう言いつつも、俺はみっともない悋気に飲み込まれていた。あんたは俺だけを見ていればいい。あんたの笑顔、視線、感情、全て俺だけに向かえばいいのに。
胸の内に燻るドス黒い感情。
悟られないように己のそれで彼女の口を塞いだ。
何度か唇を食むようにしたあと、少し開いた彼女の口の隙間からすぐさま舌を差し込む。
ここが執務室ということも、誰か来るかも知れないということも、そんな事はどうでもよかった。