刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第33章 幸せな痛み
サラダを食べようと目の前にあるドレッシングを取ろうとしたら、隣から褐色の手がにゅっと伸びてきて、手が当たった。
「―ッ!ささ先使って?」
「あんたが先に使えばいい」
「は、はい!あ、大倶利伽羅さんのにもかっ、かけようか?」
「…あぁ」
それからカチコチになりながらも食事を食べて、食器を片付けてから広間を出た。
広間を出るまでに他の刀剣の何人かにも元気がないと言われてしまい、その都度誤魔化したけど。
このままじゃ駄目だ…
そう思いながらも直ぐに切り替えることも出来ずにぎこちなく歩いていたら、途中で大浴場の前を通りかかり、大倶利伽羅さんがピタッと立ち止まった。そして私を見つめ、「風呂に入ってくる」と言った。
「ひゃ!ひゃいっ!」
「…」
へ、変な声を出してしまった。なんだか「ふっ、後で行くから待ってろよ」って言われたみたいで生生しく感じた。(そんなこと全く言われていない)
私も自室のお風呂場で身体を何回も洗ってお湯に浸かった。途中意識がぶっ飛んで溺れそうになったけど、なんとかあがり、上下お揃いの可愛い下着を身に付けた。勿論新品だ。