刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第33章 幸せな痛み
あっという間に時間は過ぎ…
約束の時まで後3時間程…
夕餉の時間になった。大倶利伽羅さんは近侍なので当然のように行動は共にしていて、私の隣に座ってご飯を食べている。
今日の夕餉は私の大好きなビーフシチュー。
光忠が「今日は主ちゃんの大好きなビーフシチューだよ。たくさん食べてね」って言ってくれたけど、それどころではない私は爽やかな笑みが眩しい光忠にさえ、から返事をしてしまっていた。
「主、食欲がないのか?」
「…え?」
「手が止まっていたが…それに、元気がないように見える」
隣に座ってきた鶯丸さんが心配そうにこちらを見ていた。そして怪訝そうに大倶利伽羅さんに視線を向ける。
「大倶利伽羅と喧嘩でもしたか?」
「いえ、してませんっ!」
「…そうか、それならいいんだが。無理せず食べられるだけ食べるといい」
「すみません、大丈夫ですから」
鶯丸さんには喧嘩してるように見えたんだ…。
駄目だ…
徐々に近付いてくる時間ばかりが気になってしまって食事どころではなくなっている。
これでは大倶利伽羅さんにも気を使わせることになってしまう。普通にしなきゃ。