刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第32章 山姥切国広は見た!!
燭台切が去った後、俺は縁側に腰を下ろした。
今すぐ行ったところでまたあんなものを見せられたらたまったもんじゃないからな。暫くここで時間を潰してから行くとしよう。
「はぁ…」
「山姥切さん、どうしたのですか?」
振り返るとそこには五虎退。
手には燭台切が作ったおやつのスイートポテト。
「少し休憩をしている」
「そうなんですか。あ、そのお盆のスイートポテト…もしかしてあるじさまと大倶利伽羅さんの分ですか?」
五虎退が盆の上の菓子と文を交互に見ている。
「…ああ、そうだ」
「やっぱり!実は僕もあるじさまと一緒に食べたくて今行こうとしていたところなんです!あるじさまの大好きなスイートポテト、皆で食べたらきっともっと美味しいですから。折角なので山姥切さんもご一緒に行きませんか?」
「や、やめておけっ!!!!今は忙しそうにしていた!だからここで少し休憩してから落ち着いた頃に持っていこうと思っているんだ!」
またもや声を張り上げてしまった俺に五虎退は、びくりと体を震わせた。そしてじわりと目に涙が溜まっていく。
「す、すまないっ、少し声が大きかった…」
「いえ…」
すっかり縮こまってしまった五虎退に「ここで食べてくか」と訪ねると、途端に弾けるような笑顔を見せ、「はい!」と頷き俺の隣に座った。