刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第32章 山姥切国広は見た!!
燭台切たちは、主はもう大丈夫だと言っていた筈なのに、何故あんな苦しそうな声をあげているんだ。
心配になり襖をそっと開けたらそこには…
大倶利伽羅が主を抱きかかえ、口吸いしている光景が目に飛び込んできた。
「…ッ!?!?」
まさかの光景に驚き身動き出来ずにいると、静まり返っている中、ちゅ…ちゅく、と鳴る水音が俺の耳に届いた。重なる唇…否応にも二人の舌がどうなっているのか想像がついてしまい、その途端カッと身体が熱くなる。
「ふっ……ん…」
再度聞こえた主の声に現実に引き戻され、文は後で渡せばいいと思い、焦りながらも静かに襖を閉じその場を去った。
心の臓がいやにうるさい。
いけないものを見てしまったからだろうか。
しかし何故あんな場所で堂々とイチャついているんだ!?
燭台切が言っていた鶴丸の悪戯が関係しているのか?
俺は畑に明石を待たせていることも忘れ、廊下を上の空で歩いていた。
「あ、山姥切くん」
突然聞こえた燭台切の声。
「どうしたんだい?あれ?執務室に行ったんじゃなかったかい?」
燭台切が不思議そうに俺の手にある文を見つめた。