刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第32章 山姥切国広は見た!!
ほら、と言いながら、皿にてんこ盛りにされた油揚げを尻尾をゆらゆらさせながら口に運び、それはそれは幸せそうに目を細めて食べているこんのすけ。
「この油揚げはいけますぞ!」
「それは良かったな…」
明石なら畑仕事を放ってどうせ木陰で寝そべっているだろう。むしろ俺が少しの間戻らなかったところで「働かない時間、最高ですわ」と思っているに違いない。
主の事も気掛かりだったし、俺はこんのすけの頼みを引き受けることにした。
厨を出て執務室に向かって歩いていると、先のほうから長谷部たちが溜息を吐きながらこちらに向かってくる。
「主は…?」
「あ、山姥切くん。鶴さんがまた主ちゃんにいたずらしてね…それで主ちゃん泣いてたんだ。もう大丈夫だから僕たちは戻ってきたんだけど」
「またか…」
長谷部の横で少し沈んだ様子の鶴丸。
まったく懲りないやつだな…。
「主は鶴丸をお許しになったが、俺は納得がいっていない。風呂掃除でもさせようと思っている!」
「好きにしたらいいだろう」
長谷部の言葉に項垂れている鶴丸をよそに、俺は再度執務室に足を向けた。
執務室の前に着き襖を開けようと手をかけたところ、苦しそうな?主の声が聞こえた。
「んぅ……んん…っ」