刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第31章 近侍 大倶利伽羅
きっと断ったら、彼は何も言わずに引き下がってくれたんだろうなと思った。
大倶利伽羅さんは本当に優しい。
いつも私のことを優先して。
それにきっと、ずっと私に合わせて我慢して待っていてくれていた。
「伽羅ちゃん…」
「…なんだ」
「好き…大好き」
「あぁ…」
「桜…舞ってる、ね…綺麗…」
「…うるさい」
拗ねてしまったのか、ふいっとそっぽを向かれたけど、相変わらず桜が舞っていて…
大倶利伽羅さんが大好きで、愛しくて、無性に触れたくなって、思わず彼の頬を包んで引き寄せ、ちゅ、とキスをした。
すると、金の瞳がすっと挑発的に細められた。ギラッと光を放ち、その色気を纏った表情にドキリとしたときには、がしっと後頭部を抑えられ唇が重なっていた。
口をこじ開けられ、舌をねじ込まれる。
互いの熱がぐちゃぐちゃに合わさっていき、執務室ということも忘れ、夢中で唇を重ねた。
「…はぁ………んっ」
「は…」
もう、目の前の人がただただ愛しくて堪らなくて、私に触れてくれる事が幸せで、大倶利伽羅さんに触れられる事が幸せで。