刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第31章 近侍 大倶利伽羅
何度か軽く啄まれた後、ぺろりと唇をなめられ、背筋がぞくりと震えた。
「……あんたを」
そのまま深い口付けに変わるのかと思いきや、大倶利伽羅さんが何かを言いかけて耳を傾けた矢先…
次の言葉がなかなか発せられないので、思わず彼の顔を覗き見た。
何故か大倶利伽羅さんが眉根を寄せていた。
その原因が廊下から聞こえてくる声のせいだと私が気付いたのは、少し後のことで。
「伽羅坊!いるか~!!」
「ちょっと鶴さん!待ってよっ、伽羅ちゃんもう寝てるかもしれないよ!ていうか寝てるって!!それに、寝てなくても今行くのは野暮じゃないかなっ」
あぁ、酔っ払ってるんだなぁと鶴丸の弾むような足音と声で理解した。光忠の困ったような声も追いかけるように聞こえてくる。
そして真後ろから聞こえてくる盛大な溜息。私の髪の毛が揺れるほどに吐かれたそれは、酷く気だるげに感じられた。
バタバタと足音が近付いてきて、隣の近侍部屋の障子がパシンと開け放たれた音がする。
「ん?いないな、主の部屋か?」
「だからっ!鶴さんもう戻るよ。伽羅ちゃんは参加しなくていいって、ちょっと鶴さん!!」