刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第30章 ある日の出来事 4
そしてそれと同時にどうしようもない程の独占欲が俺の中に生まれる。
一目…、一目だけ姿を見ればそれだけで良いと思っていたはずなのに。
触れたい。
あんたに触れたい。
そう思った時にはそのまま布団に潜り込み、抱き寄せていた。
己とは違う、柔らかくて少しでも力を入れれば折れてしまいそうな、細い身体と甘い香り。
あんたにこうして触れられるのは俺だけだ。
「ん…」
無意識にすり寄ってくるこいつに触れていると、先程まで感じていた胸の燻りが、嘘のように晴れていくのを感じた。
小さい体でひた向きに頑張っているあんたに、いつの間にかこんなにも惹かれ、いつしか守りたいとまで思うようになっていた。そして主に対しての思いとは別の想いを抱いてしまっていた。
刀である俺がヒトの子にこんなに心を奪われるなど、想像もしていなかった。
刀を振るっていれば良いと、それだけを思い戦ってきた俺が、刀ではなくあんたに触れたいと思うようになるとは…
彼女の温もりを噛みしめながら物思いに耽っていると、ふと視線を感じた。
いつの間にか目を覚ましていたらしい。