刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第30章 ある日の出来事 4
俺は無言のまま部屋を立ち去ろうした。
すると、後ろから聞こえるお節介な言葉の数々…
「伽羅坊、くれぐれも優しくだぞ!健闘を祈る!!」
「そうだよ伽羅ちゃん。あとは、ムード作りも大切ってこと分かってるよね?とにかく格好良く決めておいで!」
「がっついたら絶対駄目だかんな!」
「………………………」
勝手に言わせておけばいい…
そう思い、振り返らずに今度こそ部屋を後にした。
暗い廊下を他の連中に気付かれないように出来るだけ気配を消して歩く。
「…どこへ行くつもりだ」
背後から突然発せられた声に、ピタリと足を止め振り返ると、カップ麺とやらを食べ終わったのか山姥切が立っていた。
彼女の初期刀。
山姥切国広。
初鍛刀の光忠と並び、この本丸では最古参の刀であり、唯一彼女自身が選んだ刀。
俺自身も10振り目で古参ではあるが…
チャキ…
シンッと静まり返っている廊下で、山姥切が鯉口を切る音が響き渡った。
「もう一度聞く、どこへ行くつもりだ」
「あいつの所へ…」