刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第30章 ある日の出来事 4
「まあ、仕方ないよね。僕らだけで行くとしようか」
そのまま青江と和泉守と別れ、残りの短刀達、秋田と薬研・乱と共に本丸へ向かう。
あの様子だと酒を飲んだ後に、花街にでも行くんだろう。連中が酒の席でどこぞの娘が最高だとかなんとか言っていたのを思い出した。
「旦那は行かなくてよかったのか?」
「興味ないな…」
「わかってないなぁ~大倶利伽羅はあるじさん一筋なの!ねーー?大倶利伽羅!」
「…」
「それもそうだな!この色男!」
薬研が俺の背中を思い切り叩き、乱が面白そうに俺の顔を覗き込むように見る。
秋田は何も言ってこないが顔が綻んでいる。
彼女が高熱を出した数週間前のあの日以来、俺と彼女はすっかり周知の仲となった。まあ、俺がばらしたんだが。
あいつは俺のものだと他の連中に牽制出来るのは良いことだが、こうしてからかわれる事が増えたのはどうにも意にそぐわない。
薬研達の会話を適当に受け流し、本丸に着いた後風呂にゆっくり浸かり、厨に向かう。
テーブルの上には『おかえりなさい、出陣お疲れさまでした』のメッセージが書いた紙と、おにぎりとだし巻き玉子。