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刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~

第29章 エイプリルフール?


伊達部屋の前に着いた。

大倶利伽羅さんは熱を出してうなされていると聞いたので、大きな音を立てないように障子をそっと開けて、部屋に入りまたそっと閉めた。

奥に敷かれている布団は、大倶利伽羅さんが寝ているのか人一人分、膨らんでいる。

心臓の音がいやにうるさい。
走ってきたから息切れもしている。

どうしよう…大倶利伽羅さんの身に大変な事が起こっていたとしたら…

刀剣男士も風邪を引くことがある、とこんのすけに聞いた事があるけど、まさかこの本丸で一番最初に大倶利伽羅さんがかかった?

薄暗い中、そろりと布団に近づき彼の名をそっと口にするも返事がない。そして返事がないことにどんどん不安が募っていく。


「大倶利伽羅!大倶利伽羅さん?」

「…」

「伽羅ちゃん?大丈夫…っ?」

「…」

「…っ、ねぇ…」


顔が見えないので、被さっている掛け布団を捲ろうと手を伸ばしたら、ニュッと褐色の手が出てきてあっという間に布団の中に引きずり込まれた。


「え?え…?な、何?…伽羅ちゃん…?」

「…やかましい」

「へ?……ね、熱は?あれ?」


思わず大倶利伽羅さんの額に、手を当ててみた。


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