刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第29章 エイプリルフール?
「ああ、すまん!だがそれどころじゃないんだ!」
「は!?」
ちょっと嫌な予感がしたけど、こんなに慌てている鶴丸を見たのは初めてなので、私は鶴丸の言葉に耳を傾けた。
「伽羅坊が!」
「お、大倶利伽羅さんがどうかしたの!?」
「それが!伽羅坊がうなされていて苦しそうなんだ!それになんだか身体がいやに熱い!」
「え?ほ、本当にっ!?」
「光坊と貞坊は遠征で帰還までもう少し時間がかかるし、とにかく見てやってくれないか!俺ではどうにも出来ん、風邪でも引いたのかも知れん!」
「わ、分かった!支度してすぐ行く!」
恋人の深刻な現状を知らされて私は少しパニックになりながらも、慌てて最低限の身なりを整えてから執務室を出た!
その時に執務室にたまたま置いてあった、段ボールの角に脛を強打して激痛が走った。だけどそんなの気にしてられない!「イッターイ!」と叫びながらも、猛スピードで伊達部屋に向かった。
その時、駆けて行く私の後ろ姿を肩を震わせながら鶴丸が見ていて、「襲われて来いっ」と言いながらガッツポーズをしていたことは、私は知らない。