刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第27章 反動
普段はおどけてばかりいるが、鶴丸国永は聡い刀だ。何も言わずとも主の高熱の原因を察しているようだった。
「伽羅坊、主なら大丈夫だ、すぐ良くなる」
「……こいつは、」
「ん?どうした?」
「こんなに辛そうなのに…俺の事ばかりで…こうなったのも俺のせいなのに…」
「……主はそんな風には思っていないと思うけどなあ…それにしても、きみ達は互いに思いやっているんだな」
「…」
「きみ達をみていると俺もそんな相手が欲しくなるぜ、羨ましい限りだ。まあ、あまり思い詰めなさんな」
鶴丸は大倶利伽羅が食べ終わるまで待ち「無理はするなよ」と言い、膳を持って部屋を去った。彼女の様子をベッドの傍らで見守っていると、またドアの向こうから馴染みの声。
「伽羅ちゃん?ちょっといいかい?」
「……なんだ」
大倶利伽羅が返事をするとドアが開き、予想通りの人物が現れた。
「主ちゃんの様子はどうだい?」
「相変わらず苦しそうだ…」
「そっか…伽羅ちゃん、悪いんだけどこれで主ちゃんの身体を拭いてあげてから、着替えもさせてもらえるかな…」
燭台切は言いにくそうに、手桶とタオルを大倶利伽羅の前に差し出した。
手桶の中は温かいお湯が入っているのか、湯気がたっている。