刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第27章 反動
人間の体のことは到底分からない事が多いが、この数値が異常に高いというのは理解出来ていた。
相変わらず荒い呼吸をしながら苦しそうにしている主だったが、冷やしても冷やしても熱が下がる兆しはないようにみえ、その額には汗がじっとり湿っている。
乾いたタオルで汗をそっと拭ってから、首の下の水枕を冷たい新しいものに変え、タオルで巻いた柔らかい保冷剤を脇に挟んだ。
冷たかったのかピクリと彼女が反応し、うっすら目を開ける。その瞳は焦点が合っていないように見えたが、大倶利伽羅の姿をしっかり捉え、苦しげに口を開いた。
「…ごめんね…こんな、ことになっ、て…めいわく、ばか、り…」
「俺の事はいいっ」
「だっ、て…」
「もう無理に話すなっ、水飲めるか」
「う、ん」
急ぎコップにイオン水を入れ、彼女の背中に手を添えて少し上体を起き上がらせながら、コップを彼女の口に持って行く。
そっと口に注いでやるも、力が入らないのか口の端からこぼれ落ちた。
その様子に大倶利伽羅は迷いもなくコップのイオン水を自身の口に含み、彼女の唇に重ね少しずつ流し込む。