刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第27章 反動
「薬研、こいつを私室に運ぶ。後はどうすればいい」
「旦那が連れていくのか!?まあ今はそんなこと言ってる場合じゃねぇな!大将は高熱だ。原因は今のところ分からねえが、取り敢えず冷やして熱を下げる事が先決だ!」
「あぁ、わかった」
大倶利伽羅の行動に暫く呆気にとられていた長谷部だったが、近侍である自分がそっちのけにされている状態に納得がいかない。
「ちょっと待て!近侍は俺だと言ったはずだ!俺が看病する!お前は何の権限があってそんな勝手なことをする!」
「…チッ」
主の私室に向かおうとしていた大倶利伽羅は、静かに長谷部の方を振り返った。
近侍の長谷部を差し置き勝手な行動をしている自分を棚にあげ、今はそんなことを言っている場合ではないだろう、と大倶利伽羅は苛立っていた。
今は一刻も早くこの腕の中の愛しい恋人をベッドに寝かせ、少しでも楽にさせてやりたいのだ。こうなってしまったのは恐らく己のせいなのだから。
とはいうものの、目の前のこの男…主に対して異常なまでの執着をみせるこの男に、今何か言ったところで意味を成さないだろう…
「権限か…、権限はないが…悪いがこういう関係なんでね」
大倶利伽羅は、見せつけるように主に口付けた。