刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第27章 反動
大倶利伽羅は急いで主の側に駆け寄り、「俺が連れていく」と言い、奪うように主を抱き上げた。
抱き上げたその体は異常に熱く、ぐったりとしている。四肢も力なくダラリと下がっていて、呼吸も荒かった。
大倶利伽羅に突然主を横取りされた長谷部は、その様子に黙っているはずがない。
前に主が落とし穴に落ちた時は、近侍が大倶利伽羅であったため仕方なく身を引いたが、今は俺が近侍だ。
近侍である俺が誠心誠意、主を看病して差し上げます!と意気込み主を抱き上げようとした刹那、奪われた。
「おい貴様!近侍は俺だ!俺が主の看病をする。貴様の出る幕ではない!」
「…俺がする」
大倶利伽羅の一言に広間がどよめく。何故大倶利伽羅が?どうしたんだ?何があった?とか色んな疑問が飛び交っていた。
短刀達はそんな彼らの様子を固唾を呑んで見守っている。
その様子に二人が恋仲であるという事情を知っている刀剣達は動揺を隠せない。
「伽羅坊…」
「伽羅ちゃんっ」
「伽羅…」
「大倶利伽羅…」
それぞれ大倶利伽羅に視線を向けてはお互い目を合わせ、これはヤバイなとでもいうような表情であったが、内心ではいいぞ、もっとやれ!と密かに思っていた。