刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第26章 瘴気
急いで長谷部と共に二人を連れて手入れ部屋に向かった。必死に平静を装ったけど、正直大倶利伽羅さんの戦装束が血に塗れて帰還したときはドクン、と心臓が大きく鳴りパニックになりかけた。
それに皆の前だというのに、彼の側に思わず駆け寄りそうになってしまった。
今でも手足は震えて、心臓は早鐘を打っている。
「あるじさま、大倶利伽羅さんが僕を庇ってくれて、ぐすっ、それで怪我を…僕のせいなんです…」
「五虎退っ」
大倶利伽羅さんが余計なことを言うな、と言わんばかりに口を挟む。今日の大倶利伽羅さんは妙に息が荒くてピリピリしている。まだ戦での興奮が収まっていないのだろうか。
「す、すみません、大倶利伽羅さん、僕余計なことを言ってしまって」
「それはもういい、あんたは五虎退を先に手入れしてやってくれ」
「わ、わかりました。五虎ちゃん先に手入れするね、大丈夫だから泣かないで」
五虎ちゃんをそっと抱き締めてよしよしする。
五虎ちゃんの傷は脇腹から胸に向かって切創がある。小さい体に似合わない残酷な傷…目を背けたくなる程痛々しい。それでも出血は多いものの、幸いにも傷口はそこまで深くなさそうだった。