刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第25章 真夜中の出来事
「二ヶ月以上も経ってるじゃないか。大問題だ!俺が伽羅坊の立場ならもうとっくに手を出してる頃だぞ!言っておくがこれは俺だけに限らず、他の奴だったとしても言えることだ!」
「そう、なの、かな…」
そんな風に強く言われたら不安になってしまうのが人間というもの…
そして、キス以外はまだ手も出されていないという事実が頭をよぎる。
大倶利伽羅さんにとって、私はそういう対象ではないのだろうか…
それともそういうこと自体に興味がない、とか?
恋仲にはなったけど、そもそもこれ以上は慣れ合うつもりはない!とか?
でも…この前慣れてもらうって言われた。
叶わない恋って思っていたのが叶って、大倶利伽羅さんの側にいられるだけでこれ以上ないくらい幸せで。今だってこんなにも彼が好きで、きっといつまでも彼にときめいてしまうんだろうなと思う。
だから不安に思う事なんて、何もないはずなのに…
「おい…」
その時、地の這うような恐ろしい声が後ろから聞こえてきた。
こ、これは…噂をすればなんとやらってやつでは…
「伽羅坊じゃないか!」
「お、大倶利伽羅さん…」
そこには明らかに機嫌の悪そうな大倶利伽羅さんが、絶対零度の視線を向けていた。