刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第6章 ある日の出来事 2
抱き上げた瞬間、己とは明らかに違う体に驚いた。
前に抱き上げた時は気付かなかったが…
軽いな…女というものはこんなにも軽いものなのか…?ちゃんと食ってるのか、こいつは。
ふと足の怪我が目に留まった。
前に俺が雨の日に手当てした怪我だった。まだ治ってないのか…もう大分経つというのに。人間というのは難儀なものだな。
「伽羅ちゃん、主ちゃんどうしたの?」
こいつの部屋に向かって庭を歩いていると、馴染みの声がした。はあ…面倒極まりない。
仕方なく振り返ると、洗濯かごを持った光忠が立っていた。
「外で…寝ていた」
「へぇ~~」
光忠は何故か目を輝かせて嬉しそうに俺を見た。
鬱陶しい…
部屋に入りそっとベッドに寝かせ、上着を取ろうとしたら、いつの間にかこいつはギュッと俺の上着を握りしめている。
「…」
はあ、後で取りに来るか。
そのまま部屋を後にした。
……そろそろ出陣の時間が近づいている。
あいつから上着を返してもらわなければ。
再度あいつの部屋にいくと、今度は俺の上着を抱き締めて寝ている光景に何度目かの溜め息が出た。
「はあ…」