刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第6章 ある日の出来事 2
これでは取れない…かといって上着無しで出陣する訳にいかない。仕方がない、起こすか…
「おい」
「…」
「おい、起きろ!」
「う、ん…」
「起きろと言っている」
「…っ!! 大倶利伽羅さん?」
「はあ……やっと起きたか」
こいつは慌てて起き上がり、状況を理解していないのかキョロキョロと辺りを見渡している。
「あれ?なんで部屋に?外じゃない…?」
「俺が運んだ。あんた風邪気味なんだろう」
「ええ!!大倶利伽羅さんが!?す、す、すみません!!風邪気味っていっても少し咳が出るだけでっ」
「それより、上着を返せ」
「上着?」
そういうとこいつは抱き締めている上着を見て、顔を赤くした。
「ご、ごめんなさいぃ!貸してくれてたとも知らずにっ、しわになっちゃってます、すぐにアイロンを」
「必要ない」
「で、でも」
「いいと言っているんだ、出陣の時間だ。行ってくる」
「あああ、はい!」
いつものようにあいつに見送られて、出陣した。
ふわりと上着から香るあいつの匂い。
悪くない…と思った。
大倶利伽羅side、終