刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
大倶利伽羅さんはフッと微笑んで去り際に「ケーキ、旨かった」と一言いい、部屋を出ていった。
うぅ~!あんな顔を見せられたらまた蕩けてしまうじゃないか。
その後暫く伊達部屋を出られずにいると、ご飯を食べ終わったのか貞ちゃんが部屋に戻ってきた。
「あれ?主、まだいたのか?伽羅は広間にいたぜ」
「う゛…」
「どーしたんだ?」
「なんでもないっ」
まだ顔が熱い気がして咄嗟に俯いたら、貞ちゃんが大きな金の瞳をぱちくりさせ、不思議そうな顔をして覗きこんできた。
「伽羅に溶かされたのか?」
「~~~ッ!!」
貞ちゃんは伽羅も機嫌良さそうだったぜ!うまくいってるんだなっ、とニカッと笑っている。
「貞ちゃん…その、今日は、部屋貸してくれてありがとね?」
「いいっていいって!いっそのこと伽羅を永久近侍にしたらずっと一緒にいられるぜ?」
「そんな訳にいかないよ」
「まあ、そうなったら俺も困るけどな」
有難いことに近侍をしたい、と言ってくれる刀剣が沢山いて、貞ちゃんもその中の一人で…そんな状況で大倶利伽羅さんを永久近侍にしようものなら、関係もばれてそれこそ贔屓と言われてしまう。