刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
面と向かっては到底言えないので、大倶利伽羅さんの胸に顔を埋めたまま小声でそっと呟く。
「…好き」
「…」
好きな人に好きって言うだけで、なんでこんなに幸せな気持ちになるんだろう…そしてそれと同時にとても切なくなる…
「大倶利伽羅さん……、好き」
「……っ、余り煽るな…」
煽る?と疑問符を浮かべて見上げると、彼の親指がゆっくり私の唇をなぞっていく。
その仕草にゾクリと肩が震えたのとほぼ同時に少し乱暴に口を塞がれた。
「んっ…」
ちゅう…と下唇を吸われた後、軽く甘噛みされ、更にはぎゅーっと抱き締められる。
暫くすると、「時間切れだ、そろそろ貞が戻る…」そう言い大倶利伽羅さんはすくっと立ち上がった。
「先に行っている。あんたは後から来い」
「え?」
「そんな顔、他の奴に見せるな」
そんな顔?いったい私はどんな顔をしているの?
聞いてみたけど、大倶利伽羅さんは「…さあな」と言って教えてくれない。でもきっと情けない顔とか、蕩けた顔とか、そんな感じの顔をしているんだと思った。
「お、大倶利伽羅さんのせいですっ」
「そうだな…」