刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
暫く腕の中の温もりに身を任せていたら、大倶利伽羅さんの声が聞こえて、時計を見るともう夕餉の時間を少し過ぎている。時間経つの早すぎる…
もっと一緒にいたい、と思うけどそうはいかないので、別れを惜しむように見上げたら「そんな寂しそうな顔をするな…」と言われてしまった。
だって…寂しい…
大倶利伽羅さんは平気なのかな?
私だけこんなに寂しいのかな?
私ばっかり大倶利伽羅さんを好きなのかな?
そんな事を考えて少し悲しくなっていたら、顎をすくわれて、唇を押し当てられた。
じんわり大倶利伽羅さんの熱が唇を通して伝わって来る。彼が、どうしようもないくらい好きだ。
暫くして離れていく熱…
もう少し…そう思った時には彼の内番服の上着を握りしめ、引き寄せ、緊張で震えながらも大胆にも今度は私から唇を寄せていた。
何故そんな大胆な事が出来たのかはわからない。
ちゅ、と大倶利伽羅さんが私にしてくれるように彼の唇を啄んだ。
間近に驚きに見開かれた金の瞳。
それでも私の口付けを受け入れてくれている。
目を閉じ、ちゅ…ちゅ、と数回重ねたあと、今頃になってどうしようもないくらいの羞恥に襲われ、彼の逞しい胸に顔を隠した。