刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第23章 バレンタインデー
バレンタイン前日。
兼さんが頑張ってくれたおかげで仕事はスムーズである。
そして今時間は15時。クッキー生地の寝かせる時間も考えたら今から生地作りをしないと。夕方になると夕餉の準備で厨は慌ただしくなるので、その前に終わらせなければ。
兼さんに断りを入れて、厨に行くと誰かがいる気配がした。そっと戸を開けると
「光忠…」
「主ちゃん?」
定例会議から戻った後、何度か顔は合わせてはいたがすれ違っててなかなか話す時間がなかった。
なんだか久しぶりだ。
「光忠、どうしたの?」
「ああ、夕餉の準備をね」
「そっか、いつも美味しい御飯を有り難うね」
ご飯の下ごしらえをしていたみたいで、光忠は手元のお肉にラップをかけて、冷蔵庫に閉まった。
「明日の準備かい?」
「あ、うん…」
なんだか照れくさい。
「今年は伽羅ちゃんに本命チョコを渡すのかな」
「光忠も…私の気持ちに気付いてたんだってね」
「鶴さんに聞いた?まあね!僕と主ちゃんは、山姥切くんの次に長い付き合いだからね」
「その…、ありがとう」
光忠は少し驚いた感じで、僕は何もしてないよ、と答えた。