刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第5章 ある日の出来事
大倶利伽羅さんに手当をしてもらってから、そのまま執務室に戻ると私の姿を見た今週の近侍の長谷部が、悲鳴をあげた。
「あるじぃぃぃ!どうされたんですかっ!もう少ししたら呼びに行こうかと思っていたところだったんですがずぶ濡れではないですか!」
「ごめんなさい…紫陽花があんまり綺麗に見えたから庭に出て眺めてて…帰り際に転んじゃったの」
「こ、転んだ!?あ、主!その上着…まさか大倶利伽羅の奴に何かされたのでは!?」
「ち、違うよ長谷部!逆に大倶利伽羅さんにお世話になっちゃったの!怪我の手当をしてくれて…」
「手当を?あいつが?」
信じられないという顔をして傷を凝視する長谷部。
暫く固まった後ハッと我に返ったように「あぁっっっ!!主の綺麗なおみ足が傷物にいいっ!」と真っ青になっている。
「大倶利伽羅さん、優しかった…」
「そんなことより主!風邪を引いてしまいます。湯浴みをした方がいいのでは?傷が染みると思いますが…」
「そうだね…ぐちゃぐちゃだもんね、ちょっと行ってきます」
「仕事は進めておきますからご安心を!」
その後戻ったら長谷部がほとんどの仕事を終わらせてくれていた。本当に頼りになる…