刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第5章 ある日の出来事
「ひぇぇぇっ!お、大倶利伽羅さんまで汚れちゃうっ」
「いい、黙ってろ」
縁側に座らせ俺の上着をこいつに羽織らせた。少し待ってろと声をかけ、急いで救急箱を取りに行く。そして傷の手当てをしながらこいつに言う。
「あんたは、俺達みたいに代えが利かないんだ。気を付けろ」
「皆も代えが利かないです」
「俺達は折れたとしてもまた鍛刀出来る」
「鍛刀したとしても、それは違う刀です!姿形は同じでも違う。一緒に過ごしたあなた達じゃない」
だからそんなことを言わないでと、こいつは言った。
確かにそうかも知れないが、俺達は所詮刀だ。
刀は使われる物であり人間とは違う。
俺は小さくため息を吐いた。
「そら、終わったぞ…」
「ありがとうございます…大倶利伽羅さんの上着、汚れちゃいました。洗ってすぐ返しますね」
見ると確かに上着は汚れていた。
ふいに胸元に目が奪われる。雨で濡れて白いTシャツは肌にピッタリとはりついて下着が透けて見え、胸の膨らみが強調されている。
慌てて羽織らせていた上着の釦を止めた。
「え?」
「いいから閉めておけ」
俺は足早にその場を立ち去った。
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