刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第21章 祝杯とイタズラ
御手杵率いる部隊を見送った後、休憩がてら馬小屋に行った。大倶利伽羅さんが馬当番だからだ。
カラリ…と引き戸を開くと、そこには馬をブラッシングしている大倶利伽羅さんの後ろ姿。
兼さんが一緒に当番のはずだけど、サボっているのか見当たらない。
私の気配に気付いたのか、大倶利伽羅さんがこっちを振り向いた。
「あ、おはようございます」
「おはよう」
「あの、大倶利伽羅さん、もしかして昨晩次郎ちゃんの部屋から私の部屋に運んでくれました、か?」
「…あぁ」
「やっぱりっ、微かに覚えてて。それに一緒に寝てくれてましたよね?もしかして私が無理やり引き留めてしまいました?何か失礼な事しちゃいました!?」
「別に…そうじゃない」
「すみません」
「…そんなことより」
大倶利伽羅さんが私に近付いてきて、軍手を外してから私の手を握ってきた。ゴツゴツした少しかさついた手が私の手を包み込む。
「あんた寒いんだろう、手がまた氷みたいに冷えてる」
「あ…」
「執務室に戻れ、風邪を引く」
「お礼だけ言いたくて」
「気にするな」
「じゃ、じゃあ…」
大倶利伽羅さんの手の温もりにドキドキして、なんだか緊張しちゃったので大倶利伽羅さんに言われるがまま馬小屋を後にした。
恋仲になってから特に、大倶利伽羅さんと二人っきりになるだけでとても緊張してしまう。いつか慣れる日が来るのだろうか…