刀剣乱舞/Manus in manu~手に手をとって~
第20章 通じ合う心
審神者IDカードにはチップが埋められていて、車と連動するように登録してある。なのでこのカード一枚で車の鍵も開いてしまうのだ。とっても便利。
その代わり、失くしてしまうと手続きに物凄く時間がかかっちゃうんだけど…
「それにしても大きいな…」
大倶利伽羅さんが、車を凝視している。
「これくらい大きくないと、光忠や太郎さんが窮屈かなって思いまして」
──本当は大きくないと万が一事故が起きた時に助からない場合が多いから、と両親に勧められたからだ。そう言ってくれた両親は皮肉にも交通事故で亡くなってしまったが…
でもそれを言うと大倶利伽羅さんに気を使わせてしまう。
「……そうか」
「それでは出発しますね!」
車のエンジンをかけたら、いきなり鳴り出す大音量の音楽…
二人で吃驚して慌てて音量を下げた。
「びっくりした!大倶利伽羅さんごめんなさい。最後に光忠達とドライブした時、盛り上がっちゃって音楽大きくしてたんでした!」
「…」
あの時は確か、高速を走ってたらテンション上がっちゃって…音量下げずにエンジン切ったのをすっかり忘れてた。
特に兼さんが夢中になって大騒ぎで。
国広くんが相変わらず布を被ってジッとしてるのを、テンションの高い兼さんが布をひっぺがしてそれを奪おうと国広くんが躍起になって。
薬研くんが妙に落ち着いていて、長い足を組みなあら呆れて二人を見ていたのを覚えてる。
とりあえず大倶利伽羅さんのシートベルトを締めようと彼の方に身を乗り出してこれを締めるんですと大倶利伽羅さんを見たら至近距離で目が合ってしまった。